在宅で義理の親を介護していたとき、ヒヤッとした瞬間がいくつもあります。廊下のわずかな段差につまずく、夜中にトイレへ向かう途中で転ぶ、お風呂で立ち上がれなくなる——。認知症が進むと、住み慣れたはずの家が、思わぬ“危険な場所”に変わっていきます。
この記事では、認知症の親ができるだけ安全に・長く自宅で暮らせるための住環境の整え方を、介護リフォーム・バリアフリー・見守り防犯の3つの面からまとめます。大がかりな工事の前に、できることもたくさんあります。
まず知っておきたい ― 介護リフォームには公的な補助がある
意外と知られていませんが、要支援・要介護の認定を受けていれば、介護保険の「住宅改修費」として、手すりの取り付けや段差解消などの工事費の一部(上限あり)が支給される場合があります。まずは担当のケアマネジャーや市区町村の窓口に相談するのが第一歩。民間のリフォームを考える前に、使える公的制度を確認しておきましょう。
転倒を防ぐ ― 優先したいリフォーム箇所
- 手すりの設置:玄関・廊下・階段・トイレ・浴室。立ち座りと移動の安全がぐっと上がる。
- 段差の解消:わずかな段差が転倒の原因に。スロープや床のかさ上げで。
- 滑りにくい床・浴室:水回りは特に危険。滑り止めや床材の変更を。
- 明るさの確保:夜間のトイレ動線に足元灯を。認知症では暗がりの不安も和らぐ。
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※介護保険の住宅改修が使えるか、先にケアマネジャー・市区町村にご確認ください。
「徘徊」と「侵入」に備える ― 見守り・防犯の工夫
認知症では、ご本人が外に出て戻れなくなる、あるいは訪問販売などのトラブルに巻き込まれる心配もあります。玄関にセンサーやカメラを置くと、本人の外出に気づけたり、不審な来訪を記録できたりと、家族の安心につながります。大げさな設備でなくても、ホームセキュリティの比較から始められます。
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今日できる、たった30秒の一歩
親の家を歩いて、「夜トイレに行く動線」に危ない段差や暗がりがないか見てみる。
転倒は、骨折→入院→一気に介護度が上がる、という最悪の連鎖の入口になりがちです。動線の点検は、お金をかけずに今日できる、いちばん効く一手です。
おわりに ― 住まいを整えることは、親の尊厳を守ること
家を安全にするのは、転倒を防ぐためだけではありません。「自分のことは自分でできる」を少しでも長く保つことは、認知症の親の尊厳と自立を支えることでもあります。介護の現場で、たった一つの手すりが本人と家族の暮らしを大きく変える場面を、何度も見てきました。まずは公的制度の確認から、無理のない範囲で。
あわせて見守り・在宅介護・施設選びも読むと、住まいと暮らしの備えがひと続きで見えてきます。
参考:介護保険の住宅改修制度の詳細は、お住まいの市区町村・地域包括支援センター・厚生労働省の公式情報をご確認ください。


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