認知症で親の口座が凍結される前に|家族がやるべきお金の備え完全ガイド

お金と手続き

※この記事には広告(PR)を含みます。紹介する相談サービスはいずれも無料相談が中心ですが、契約や手続きの最終的な判断は、必ずご自身とご家族、専門家とご相談のうえで決めてください。

「うちの親はまだ大丈夫」——そう思っていた頃の自分に、いちばん伝えたいことがあります。

認知症の病棟で看護に携わっていた頃、私は患者さんの「治療」ばかり見ていました。でも、義理の親を“もの忘れ”の段階から在宅、そして看取りまで支える側になって、初めて思い知ったんです。家族が本当に困るのは、症状そのものより「お金が動かせなくなること」だった、と。親名義の口座、親の年金、親の保険。いざという時、家族でも一円も引き出せなくなる。それが「口座凍結」です。

この記事は、まだ親の判断能力がしっかりしている“いま”だからこそできる、お金の備えをまとめた総まとめページです。むずかしい手続きの話も、できるだけやさしい言葉で、順番にお伝えします。読み終えたら、今日できる小さな一歩がひとつ見つかるはずです。

「認知症は他人事」ではない ― 数字で見る現実

厚生労働省の研究班による将来推計では、2022年の時点で65歳以上の認知症の人は約443万人、その手前の段階である軽度認知障害(MCI)は約559万人。合わせると1,000万人を超え、高齢者の約3.6人に1人が認知症またはその予備群にあたると見込まれています(出典:厚生労働省「認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計」)。

つまり、親が高齢であれば、認知症は「もしも」ではなく「いつか向き合う可能性が高いこと」。そして厄介なのは、判断能力が下がってから慌てても、お金の対策はほとんど打てなくなるという点です。だからこそ、元気な“いま”が分かれ道になります。

そもそも「口座凍結」とは? いつ起きるのか

口座凍結とは、銀行が口座の取引(出金・振込・解約など)を停止することです。認知症の文脈では、金融機関が「名義人ご本人の判断能力が低下した」と確認した時に起こり得ます。これは銀行の意地悪ではなく、本人の財産を家族や第三者の使い込み・トラブルから守るためのルールです。

よくある“きっかけ”はこんな場面です。

  • 家族が窓口で「親の代わりに大きな金額をおろしたい」と相談したとき
  • 施設入居や入院の費用で、まとまったお金を動かそうとしたとき
  • 本人が窓口で受け答えにつまずき、行員が異変に気づいたとき

いったん凍結されると、たとえ実の子どもでも、原則として「成年後見人」を家庭裁判所に選んでもらわない限り、引き出せません。後見人を立てるには時間も手間もかかり、その間の入院費や生活費を家族が立て替える…というのが、現場でよく見た“詰み”のパターンでした。

凍結される前に ― 家族でやることチェックリスト

むずかしく考えなくて大丈夫です。まずは「知る」「話す」「備える」の順で、できることから。

  • ☐ 親の口座・年金・保険がどこに・いくつあるかをざっくり把握する
  • ☐ 毎月の収入(年金など)と固定費(家賃・光熱費・医療費)を書き出す
  • ☐ 通帳・印鑑・キャッシュカードの保管場所を家族で共有しておく
  • ☐ 「もし判断できなくなったら誰がお金を管理するか」を親本人とまだ話せるうちに話す
  • ☐ 家族信託・成年後見・代理人カードなど、選択肢があることだけでも知っておく

このチェックの最後の2つが、いちばん大事で、いちばん後回しにされがちです。お金の話は切り出しにくいですが、「親を疑う話」ではなく「親の願いを守る話」として伝えると、ぐっと話しやすくなります。

もし「親の借金」が見つかったら
お金を把握していく過程で、親名義のローンや連帯保証が出てくることもあります。返済が重い・利息がかさんでいるといった場合は、債務整理(借金の減額)にくわしい司法書士に相談する、という選択肢もあります。
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分かれ道 ― 親の判断能力が「ある」か「もう難しい」か

打てる手は、親の状態で大きく変わります。

まだ判断能力がしっかりしている場合

いちばん選択肢が多い、いわば“黄金の時間”です。後述する家族信託任意後見、銀行の代理人カードなど、本人の意思で前もって備える方法が選べます。

すでに判断が難しくなっている場合

この段階では、家族信託などの「契約」は基本的に結べません。残された主な道は法定後見(成年後見)です。家庭裁判所に申し立て、選ばれた後見人が本人に代わって財産を管理します。手続きや費用の負担は大きくなりますが、凍結された口座を動かすための正式なルートになります。

備えの選択肢を、ざっくり比べる

  • 代理人カード/代理人指名:銀行が用意する仕組み。家族が本人に代わって一定の取引をできるようにする。手軽だが対応や上限は銀行ごとに違う。
  • 家族信託:元気なうちに「お金や不動産の管理を家族に託す」契約を結んでおく方法。柔軟だが設計には専門知識が必要。
  • 任意後見:判断能力が下がった時に備え、誰に任せるかを本人があらかじめ決めておく契約。
  • 法定後見(成年後見):判断能力が下がった後に、家庭裁判所が後見人を選ぶ制度。

どれが合うかは、家族構成・資産・親の希望によって本当にさまざまです。ここは自己流で決めず、司法書士などの専門家に一度相談するのが結局いちばんの近道でした。

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今日できる、たった30秒の一歩

ここまで読んで「やることが多い…」と感じたら、まずはこれだけで十分です。

親に電話して、「通帳ってどこにしまってる?」と一言だけ聞いてみる。

たったこれだけで、「お金の話を家族でする」という、いちばん高いハードルを越えられます。我が家も、この一言から備えが動き出しました。完璧な準備より、まず一歩です。

お金全体の不安は、プロと“見える化”すると軽くなる

口座凍結への備えと同時に、多くの家族がぶつかるのが「介護や医療で、これから一体いくらかかるの?」という漠然とした不安です。年金で足りるのか、貯金は持つのか——。こればかりは、家計の全体像を一度プロと整理してみると、驚くほど気持ちが落ち着きます。

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おわりに ― 「まだ元気」な今が、いちばんの備え時

口座凍結は、知らないと本当に家族を追い詰めます。でも、知って・話して・少し備えておくだけで、ほとんどの“詰み”は避けられます。看護の現場でも、在宅で義理の親を支えた経験からも、私が痛感したのはただ一つ。「元気なうちにしか打てない手がある」ということでした。

この記事が、あなたのご家族にとっての「今日の一歩」のきっかけになればうれしいです。手続きや制度の詳しい判断は、必ず司法書士などの専門家にご相談ください。

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出典:厚生労働省「認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計」 https://www.mhlw.go.jp/content/001279920.pdf /成年後見制度については法務省・各家庭裁判所の公式情報もあわせてご確認ください。

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